アール・ブリュット画家、臼井愛さん作品展@カフェ・ギャラリー杢

洞爺湖町のカフェ・ギャラリー杢で、町内在住の画家・臼井愛さんの作品展が開催されています。
黒い油性ペンで描かれた細かいマス目を色とりどりの色彩で埋め尽くした愛さんの絵は、不思議な美しさがあり、一度見たら忘れられない深い印象を与えます。
ギャラリー杢_23 じっと眺めるうちに絵の奥へ引き込まれるような、額を超えてどこまでも広がってゆくような。
明るさと暗さ、躍動感と静けさ、そして生命力を感じました。
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愛さんはダウン症候群です。
小学校6年生の頃から絵を描き始め、これまで函館、長沼、江別、洞爺湖、ニセコなど各地で個展を開催してきました。%e8%87%bc%e4%ba%95%e6%84%9b%e3%81%95%e3%82%93
また道内外の様々なアート展に選抜出品され、2009年の北海道知的障がい者芸術祭「みんなあーと2009」(主催:北海道知的障がい福祉協会)では大賞を受賞、その芸術性を高く評価されています。
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今回の作品展では、愛さんの代表作品の数々に加え、カフェ・ギャラリー杢オーナーで木工家の荒井修さんの作品とのコラボレーションも見どころのひとつとなっています。 

むしゃなび特集「アートするひと(1)木彫作家 荒井修」

ギャラリー杢_21
_dsc6976愛さんの母、臼井千晶さんは銅版画作家(版画作家名は石井千晶)です。
北海道を代表する美術団体・全道展の会員として作家活動を続けながら、札幌市の社会福祉法人「ともに福祉会」
や壮瞥町地域活動支援センター・ノンノなどの施設で、障がいを持つ利用者に絵画や造形を指導しています。
 
母として芸術家として、愛さんの一番の理解者である千晶さんは、愛さんの絵を次のように表現します。
 
「顕微鏡で覗く細胞のようでもあり、混沌とした夢想のようでもあり、万華鏡の中の乱反射した光のよう」
 
洞爺湖を見下ろすご自宅で、愛さんの作品作りについてお話を伺いました。
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愛さんが描き始めたきっかけは?
 
「描き始めたのは小学校6年生に上がった頃でした。
有珠山が噴火(2000年3月)した年です。
当時色々なことが重なり、学校に行けなくなってしまったのですが、家で突然、描くことに没頭するようになり驚きました。
朝から晩までずっと描いていました。」
 
ひとつの作品をどのくらいで仕上げるのですか?
 
「ペースにもよるのですが、1ヶ月くらいで仕上げるものもあれば、もっと何ヶ月もかけて描くものもあります。
描き方も少しずつ変化していて、初めの頃は、増殖するように、絵が出来ていきました。ちょっとずつあちこち描いていって。
それがある時期から、最初に下書きを黒い線で描いてしまって、それから一色ずつ色を塗ってゆくように変わりました。
一枚の中に本当に沢山のマス目がありますが、ひとつ塗っては水性ペンを収め、また別の色のペンを手に取ってひとつ塗って納める。
それを繰り返して描いています。
会場にも展示していますが、紙だけではなく、オカリナや陶器に描いた作品もあるんですよ。ほら、
カホンにも!こちらは小学生の頃に描いたものです。
それから家族や知人の顔がマス目の中に表れることもあります。」
 

アトリエには愛さんの絵と、千晶さんの銅版画が一緒に並んでいました。

愛さんの絵とは技法も含め全く違いますが、不思議で美しいところは共通しているのでは…。_dsc7053
 「私の銅版画は、自分の中の、潜在意識よりももっと遠い記憶をたぐり寄せて、画面に創出させているような仕事です。
出来上がるまで、自分でも何が出てくるのかわからないんですよ。」
 
素人ながら思わず頷いてしまいました。
一瞬、見てはいけないものを見てしまったような、ドキッとした感覚があったからです。
 

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愛さんの母・石井千晶さんの銅版画作品

 
さて、愛さんのようにハンディキャップを持つ作家をはじめ、一般的な美術教育を受けずに創作活動をする人たちの芸術を「アール・ブリュット(art brut)」と呼ぶそうです。
「アウトサイダー・アート」という言葉でご存知の方も多いかもしれません。
 
愛さんの作品が様々な展覧会に選抜出品され、注目を集める中で、「アール・ブリュット」作品をデザイナーが商品化して、売り上げの一部をアーティストに還元する幾つかのプロジェクトとの出会いがありました。
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臼井愛_RINGプロジェクト
上の2枚の画像は、「RINGプロジェクト」のもの。
コーヒーやシリアルのパッケージ、新聞広告などに愛さんの作品が起用されています。

★RING プロジェクト(メグカンパニー)
http://www.megcompany.jp/ring/

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・・・なんと可愛らしい!!
こちらはILO PROJECT(イロプロジェクト)が制作した愛さんの絵のアクセサリーです。
月や雲のデザインと愛さんの絵が見事に融合しています。
アクリル板に絵をプリントし、裏面には木材が貼られていて、軽くてしっかりした作りになっています。
カラフルで個性的なのですが、年齢も体型も肌や髪の色も、どんな方にも似合いそうです。
そこがまた魅力であり、愛さんの作品の美しさが表れているのではないでしょうか。
ギャラリー杢_16
会場で販売していますので、ぜひ手にとってみてくださいね。
ご自分用にも、プレゼントにもおすすめです!
下記のリンクからも購入できます。

★「ILO PROJECT」オンラインショップ
https://iloproject.thebase.in

アール・ブリュットの作家は必ずしも生涯作品をつくり続ける方ばかりではなく、一時ものすごく集中して創作にのめり込んだかと思うと、ある日出し切ったかのようにぱったりとつくらなくなる方も多いのだと千晶さんは話します。
 
「愛ちゃんにもそういう日が来るのかもしれないし、これからもずっと描き続けるのかもしれません。わからないですね。
でも、彼女は『描いているから素敵』ではないですから。
そのままの愛ちゃん自身がとても素敵なのです。」
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この線や色彩はどこから生まれてくるのだろう。
見れば見るほどに不思議です。
愛さんには普通の人には見えないものが見えているのではないだろうか。
作品たちは、見えない世界のどこかからおりてきたのではないか。
そんな空想をしながら眺めるうちに、すっかり長居してしまいました。
 
臼井愛作品展は5月20日まで開催しています。
作品を眺めながら、ゆったりと食事やコーヒーを楽しむこともできますよ。
どうぞお出かけください。

臼井愛 作品展
 
会期:2017年5月1日(月)~5月20日(土)
 
会場:カフェ・ギャラリー 杢
北海道洞爺湖町高砂町116-60
TEL 0142-76-3597
 
OPEN 11:00~18:00
 
CLOSED  火曜・水曜
 

 

臼井 愛(うすい あい)プロフィール
 
%e6%8f%8f%e3%81%8f%e6%84%9b%e3%81%95%e3%82%93_21987年生まれ。洞爺湖町在住。ダウン症候群。
小学校6年生の時に有珠山噴火の後、色々な事が重なり不登校になり、自宅にこもって絵を描くことに没頭するようになる。
黒の油性ペンで紙一面を細かなマス目で覆い尽くし、マス目一つ一つを水性ペンで色彩豊かに色づける。
完成した作品は、顕微鏡で覗く細胞のようでもあり、混沌とした夢想のようでもあり、万華鏡の中の乱反射した光のようでもある。
時折、マス目の中に小さな人物や動物等、登場する。

2010年以降は 発色のよいペンに切り替えたことで、より色彩豊かな彼女の絵を見ることができる。時にその絵は3Dの様に立体的にも見える。

【受賞歴】

2009年「みんなあーと2009」大賞

【展示歴】
2000年洞爺小学校にて初めての個展
2001年「函館未来大学 作品展」
    個展(函館 カフェテリア・モーリエ)
2005年「17歳  透明感の世界へ」個展(長沼 絵本屋ぽこぺん)
2009年「みんなあーと2009」大賞受賞(札幌 かでる2・7)
     「北海道のアウトサイダーアート展」選抜(道立旭川美術館)
2010年「パラアート全国展」(東京 エコギャラリー新宿)
       個展(江別 ギャラリーEGG)
2011年「母と娘の二人展(石井千晶銅版画・臼井愛作品展)」
   (長沼 絵本屋ぽこぺん、洞爺湖芸術館)
2013年「愛と加那子の絵画展」(ニセコ cafeこむぎ野)
 2015年 アールブリュット札幌展出品  (札幌)
           チャレンジアート&プロダクツ展  (ギャラリー大通美術館)
           北海道アールブリュット展(ギャラリー 大通美術館)


※記事の内容は取材時の情報に基づいています。(取材2017年)  

chそらみ編集部

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