【幼さという存在が内在している希望】

 ある人から、外来種についてなど、子どもに教える必要はない、という意見を言われたことが、少しひっかかっていた。私が子どもたちに、外来種教育を始めたきっかけは、前職の学芸員で予算のかからないソフト事業しかできなかったことや、伊達にアライグマの被害が多かったため、外来種について子どもたちに伝えようと、漠然と始めたことだった。しかし、始めてみると、デリケートで正解のない、非常に難しい教育であることが分かってきた。
 ある研究者からは『何かを集団から、排除するということは、教育としては、本来あってはならないことで、外来種教育は危険な教育でもある』と指摘されたことが、ずっと頭に引っかかっている。手探りの中、少しでも子どもたちに、私の授業を受けて、良かったと思ってもらえるよう、努力しているつもりだ。
 私が子どもたちに、外来種について語りかけている本心は何なのだろうか。教育というアプローチから、外来種問題を解決したい、という目的はある。しかし、外来種教育は、子どもたちにはいらない、と言われたとき、私自身の目的(動機)は何なのか?と問われた気がした。
 おそらく、子どもたちに「希望」を持っているからだと思う。幼い子どもたちが、真剣なまなざしで私の話に耳を傾けてくれて、自分たちで、一生懸命に答えを考えてくれること。正解の答えが出なくてもいい。幼さという存在そのものが内在している希望に向かって、自分の持てる力で、何かを伝えていきたい。それが私の動機であり、やりがいなんだなと思っている。

★Facebookやってます! 『外来種教育センターまなびや』で検索し、あなたの「いいね!」で、まなびや、を支援してください!

URL:https://www.facebook.com/alien.education.manabiya/
 私が子どもの頃、小学校には小鳥小屋があり、飼育担当をしていました。また、校内の池ではコイが飼育されていました。
 昨年、地元の母校の小学校に出前授業に出向いたとき、小鳥小屋も、池も、管理が面倒ということで、なくなっていました。今の子どもたちは、外来種だけでなく、生き物に接する機会が非常に少ないです。「いいね!」で、まなびやに、支援をお願いいたします。

人と生きものをつなぐ博物館 まなびや人と生きものをつなぐ博物館 まなびや(独立学芸員)

投稿者プロフィール

羽馬 千恵(Haba Chie) 独立学芸員・農学修士

学歴:北海道大学大学院・文学研究科(博士課程)在学中
    帯広畜産大学大学院(野生動物学研究室)・農学修士
    帯広畜産大学・畜産学部(野生動物学研究室) 卒
研究:タヌキの頭骨形態の地理的変異、エゾタヌキの食性の研究、
    ゼニガタアザラシ研究グループで個体数調査に従事、国内外来種カブトム
    シの研究、外来種教育の研究
業績:Haba et al(2007)Morphological variation of the Japanese raccoon
    dog: implication for geographical isolation and environmental
    adaptation. Journal of Zoology 274(3),239-247.
   羽馬千恵(2015)北海道伊達市における国内外来種カブトムシの体サイズ
   の記録.
   昆虫と自然(2015年8月号), ニューサイエンス社
資格:学芸員資格、農学修士
職歴:広島市安佐動物公園・飼育員(臨時職員)退職
    伊達市教育委員会・学芸員(正規職員)退職
    人と生きものをつなぐ博物館 まなびや(独立学芸員)代表
学会:日本環境教育学会、「野生生物と社会」学会
団体:日本野鳥の会(室蘭支部)会員

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コメント

    • 齊藤朗子
    • 2016年 4月 25日

    こんにちは。突然のメールで失礼します。
    「外来種」と「教育」について興味を持っている者です。たまたまこの二つのキーワードでネット検索をしていて、外来種教育センターまなびやのことを知りました。
    外来種問題について伝えるということが、「デリケートで正解のない、非常に難しい教育」だということ、よく分かります。

    私は5,6年前まで北海道に住んでいて、国立公園で働いていました。セイヨウオオマルハナバチやオオハンゴンソウを始めとする外来種に関わる機会も持ちました。
    駆除されたアライグマを博物展示用に剥製にしてもらったこともあります。

    特定外来生物のような在来生態系や人間の生活に深刻な影響を及ぼすような種の駆除は、やむを得ないことだと思います。
    私も少しだけですが生態学を学んだ者ですので、科学的な知見に沿った対処は必要だと思っています。

    けれど、「セイヨウオオマルハナバチがつくったトマトを私たちは日々どれくらい消費しているんだろう?」とか、
    「アライグマが日本に入ってきた理由はそもそも何なのだろう?」、「捕獲された外来種はどういうふうに処分されていくのだろう」と考えた時に、
    ただ駆除に専念すればよいということではない、根深くて複雑な課題を感じます。
    そして、外来種に関わっている人々の反応が様々なことも。
    外来種は日本の自然にいない方がいいというところでは皆が一致しますが、今、現実にいる外来種の取り扱いや感じ方は一致しづらいですよね。

    私は一度、外来種の講習会を開催した時に、外来種の悪影響だけではなく、外来種の運命も考えてもらおうと思って、親しみやすいようにNHKみんなのうた「悲しきマングース」という曲を資料に載せようとしたことがあります。
    その時に共催者のひとから「外来種をかわいそうと思う必要はないよ」と言われました。
    「かわいそう」と思ってしまうことは駆除の大きな抑止力となってしまうし、矛盾を感じて苦い思いをすることもあります。
    「外来種=悪者」としないと駆除の大義を保てないのかもしれません。
    そんなことがあって、外来種の運命についての感情が伴うような話は何となくしづらくなったのですが、ずっと心に引っかかっている問題でした。
    でも、外来種にしろ在来種にしろ、生きているものの命が失われるのをむごい、悲しい、かわいそうと感じるのは本来自然なことで、
    その気持ちは科学的知見や法律の整備と同じくらい外来種問題を解決するカギになり得ると思っています。

    外来種問題を引き継いでいかなければならない子どもたちに伝えていくことはとても大切なことだと思います。
    子どもたちがこの複雑な問題と向き合っていくには、たくさんの知恵や勇気が必要でしょう。
    投稿者の方が、いろいろな複雑さを抱え、試行錯誤しながら活動されていることは、子どもたちの道しるべになると思います。
    難しくて一筋縄にはいかない外来種教育を実践していてすごいと思います。応援しています。頑張ってください!!

    また、記事を読ませていただきます。ありがとうございました。

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