日本の剥製師の高齢化が進んでいる。年々、日本各地で、技術が後世に引き継がれないまま廃業が進んでいる。私も、一時期、自分の標本づくりのために、剥製師に習っていたことがある。不器用で、物にならなかったが・・。
 『昔は、剥製なんて、作れば売れたんだけど、今は需要がないからね』と語るのは、60年、剥製を生業としている田中さん(匿名)だ。写真は、剥製づくりに使うために、ヒグマの頭部を除肉し、頭骨にしているところ。作った剥製を見せてもらったが、60年の技術は、素晴らしいものだ。
 実は、日本の剥製の作り方と、欧米の作り方は、全く異なる。日本は、針金に、木毛を巻いていき、形を作り、剥皮した皮をかぶせて作るが、欧米は、ウレタンなどで彫刻を作り、その上に皮をかぶせる。以前、ロシア科学アカデミー動物学博物館へ滞在した時、剥製の技術の凄さに驚いた。生きている本物かと思うくらい、リアリズムで、野生動物の生態展示を大規模に行っていた。日本の剥製師が職人なら、欧米の剥製師は芸術家といえるだろう。しかしながら、この田中さん(匿名)の技術も欧米に決して劣ってはいない。日本各地の博物館は、予算の問題で、死体があっても剥製にできない現状にある。前職で、私もこの問題に直面したが、剥製の需要がないのは、各地の博物館の実情も影響している。日本で、あと数年後には、剥製師がいなくなるかもしれない。60年の技術が引き継がれないのは、大変、勿体ないことである。

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 昨年、地元の母校の小学校に出前授業に出向いたとき、小鳥小屋も、池も、管理が面倒ということで、なくなっていました。今の子どもたちは、外来種だけでなく、生き物に接する機会が非常に少ないです。「いいね!」で、まなびやに、支援をお願いいたします。

人と生きものをつなぐ博物館 まなびや人と生きものをつなぐ博物館 まなびや(独立学芸員)

投稿者プロフィール

羽馬 千恵(Haba Chie) 独立学芸員・農学修士

学歴:北海道大学大学院・文学研究科(博士課程)在学中
    帯広畜産大学大学院(野生動物学研究室)・農学修士
    帯広畜産大学・畜産学部(野生動物学研究室) 卒
研究:タヌキの頭骨形態の地理的変異、エゾタヌキの食性の研究、
    ゼニガタアザラシ研究グループで個体数調査に従事、国内外来種カブトム
    シの研究、外来種教育の研究
業績:Haba et al(2007)Morphological variation of the Japanese raccoon
    dog: implication for geographical isolation and environmental
    adaptation. Journal of Zoology 274(3),239-247.
   羽馬千恵(2015)北海道伊達市における国内外来種カブトムシの体サイズ
   の記録.
   昆虫と自然(2015年8月号), ニューサイエンス社
資格:学芸員資格、農学修士
職歴:広島市安佐動物公園・飼育員(臨時職員)退職
    伊達市教育委員会・学芸員(正規職員)退職
    人と生きものをつなぐ博物館 まなびや(独立学芸員)代表
学会:日本環境教育学会、「野生生物と社会」学会
団体:日本野鳥の会(室蘭支部)会員

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