伊達紋別岳を愛する人々。夏の登山道整備

年間4000人近い人が訪れる伊達紋別岳。標高714mと初心者でも登りやすく、冬場も雪がそれほど深くないのでほぼ一年中楽しめる山です。
7号目から頂上にかけて尾根づたいに続く登山道からの展望は素晴らしい眺め。またシラネアオイの群生地としても有名で、5月下旬には花を楽しむ登山者で賑わいます。

洞口雅章さん(伊達歩くスキー協会)が撮影した伊達紋別岳の絶景。クリックすると画像が大きくなります。

私たちの山、伊達紋別岳


この伊達紋別岳を「私たちの山」と呼んで親しみ、登山道の保全・整備を行っている人たちがいます。2000年に7号目~前紋別岳~頂上までのルートを切り開いた「伊達歩くスキー協会」の皆さんです。歩くスキーのサークルですが、夏場は登山が活動の中心。もともと7号目までしかなかった登山道の先に、草を刈って道を作りました。今年開通20年を迎えます。

早川直志会長「伊達紋別岳の標高は頂上で714m、手前のピーク・前紋別岳では715mです。これを日付に当てはめ、私たちは7月15日を『伊達紋別岳の日』として、毎年7月に一回、それから秋にもう一回、整備作業を行っているんですよ。」

会の恒例行事として毎年夏と秋に行われる登山道整備に参加してきました。


刈払機を担いで山登り。


7月26日(日)の朝、登山口前の広場に協会メンバー約20人とボランティア約30人が集いました。整備作業は笹刈りを中心に行われます。放っておくと道が笹に覆われてしまうため、登山道の保全に欠かせない作業です。
冬はスキー、夏は登山を楽しむ「伊達歩くスキー協会」のメンバーは60代~80代。慣れた手つきで刈払機を担ぎ、作業に取り掛かります。

燃料を準備するのは女性の仕事。ペットボトルに小分けして運びます。刈った草を脇によせるため、熊手やホウキも必須です。

この日はもうひとつ、大事な作業が予定されていました。雨水等の影響で深く浸食されてしまった登山道の補修です。削れた箇所に石を敷いて補修しますが、問題の浸食箇所は7号目と頂上の間。ふもとから1時間半ほどかかる場所にあります。そこまで人力で石を運ぶ訳ですが、当日だけではとても人手が足りません。

そこで、浸食現場を発見した同協会の洞口雅章さんが、7月初旬におよそ200個もの自然石を登山口入口に用意しました。そして「7合目の『いっぷく広場』まで運んでください」と、事前にポスターを掲示して登山者に呼びかけました。

石を置いて2日後(洞口さん撮影)

外部から石を持ち込むことで山の環境を損なわないように、石は伊達紋別岳と同じ地質の谷藤川渓谷から採取して運んだそうです。

「作業当日までにひとつでも多くの石を7合目まで上げてもらえれば」と考えていたそうですが、後日確認してびっくり。登山者の善意で石はすっかり運ばれ、なくなっていたのでした。

8日後(洞口さん撮影)
洞口さん「これほど多くの協力を得られるとは、本当に嬉しい想定外でした。登山者の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。」

石の待つ7合目を目指し出発。


さて、笹刈班と補修班に分かれ作業が始まりました。
「伊達歩くスキー協会」のメンバーは7号目から下の笹刈りを担当。ボランティアメンバーは補修作業のため石運びを行うことになりました。そこで、まずは石が待つ7号目を目指して山を登ります。

登山口からしばらくは急な坂が続きます。慣れている人はスイスイ登っていきますが、運動不足の身にはこたえます。「ジグザグに歩くと膝に負担がかかりにくく楽ですよ」と教えていただきました。

次第に足が慣れてくると、景色を楽しむ余裕が出てきます。
3合目の展望ポイント「一望台」で休憩。残念ながら曇り気味でしたが、晴れると有珠山や昭和新山、洞爺湖まで見渡せます。
途中の看板やベンチも、会の皆さんが設置したもの。看板の足をよく見れば…あ!スキー板です。


石を背負って補修作業。


1時間と少し登って7合目に到着しました。
見晴らしのよい「いっぷく広場」の真ん中に、登山者がふもとから運んできた約200個の石が積み重なり小さな山を作っていました。

各々リュックに石を入れて、いざ、補修箇所を目指します。

ここから山頂へ向かう尾根づたいの道が、20年前、会の皆さんにより切り開かれたルートです。アップダウンが続いてなかなかきついですが、絶景を眺めながら気持ちよく歩けます。

すっかり曇ってしまい、下界は見えませんでしたが、霧に包まれた神秘的な景色を楽しむことができました。

ようやく現場に到着。15メートルほどの区間にわたって、道幅が半分ほど深く削れて、段差ができています。このまま放置しておけば、道がどんどん崩れてしまいそうです。
各々運んできた石を浸食部分に並べて補修を行いました。中には何度も往復して石を運んだ健脚な方もいました。

その頃下の方では、笹刈りが行われていました。7合目までの長い距離を、下と上の両側から攻めます。シラネアオイ等の山野草は刈らないよう、気をつけて作業しなくてはなりません。長年整備作業に携わっている「伊達歩くスキー協会」の皆さん、さすがベテランの手つきです。80代で刈払機を担いでいる方もいましたが、若々しい動きに驚くばかり!登山や歩くスキーで日頃から鍛えているからでしょうか。

「先日は、別の会で稀府岳の整備に行ってきました。大変な作業ですが、どこの山でもこういう整備が行われているんですよ。」
と参加者の一人に伺いました。
登山道があるのが当たり前ではないんだな、とあらためて気がつきました。
楽しい登山の裏側に、山を愛する人々の働きがあることは、意外と知られていないかもしれません。
山道で汗を流し作業をする参加者の姿に、自然を愛する心を教えていただいた気持ちでした。

きれいになった登山道。手前はシラネアオイ
再び7合目付近。若手メンバーによりこちらでも笹刈り。ボランティアで参加した消防組合職員の協力により、老朽化していたお助けロープの付け替えも行われました。
早川会長「今回は多くのボランティアにご参加いただき、有意義な1日となりました。長年行っている登山道整備ですが、高齢のメンバーも多くなり、年々作業が大変になってきている状況です。次回は秋ですが、興味のある方にぜひ参加して盛り上げていただければと思います。」

伊達紋別岳を愛する人たちと、登山道整備をしてみませんか。山を知り、山を楽しむとてもいい機会になるのではないかと思います。
詳しくは「伊達歩くスキー協会」にお問い合わせください。

作業を終えて。皆さん、おつかれさまでした!

基本情報
伊達歩くスキー協会
問合せ:事務局 池田さん(電話 0142-23-1588)

伊達紋別岳登山道入り口:北海道伊達市幌美内町(社会福祉法人北海道社会福祉事業団 太陽の園 敷地内)

ルートについて、胆振総合振興局HPで詳しく紹介されています。
登ろういぶりの山 山登りまち巡りガイド-伊達紋別岳-


※ 記事の内容は取材時の情報です(取材2020年7月)

chそらみ編集部

投稿者プロフィール

影の編集長と言われている。
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