本当の自分を生きる…夢見の森、月浦

 _DSC7705洞爺湖町月浦に「夢見の森」という森があります。

30年ほど前に植樹されたカラマツの人工林です。7ヘクタールの広大な土地で、長年手付かずで放置されていました。

この土地を一昨年購入し、家を建て暮しているのが高橋 真由美さんです。高橋さんはこの森で、森づくりや森林資源活用を目的とした〈「夢見の森」に目覚める森林再生プロジェクト〉を立ち上げました。昨年、林野庁の森林・山村多面的機能発揮対策交付金に申請が通り、2016年度までの3年間交付金を受けながら、仲間たちと様々な活動を行っています。

 「夢見の森」、おとぎ話に出てくるような名前です。一体どんな森なのでしょう。それに、森林再生ってどういうこと??高橋さんにお話を伺いました。

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夢見の森 代表 高橋 真由美さん

 

ー「夢見の森」という名前の由来は?

心理学者アーノルド・ミンデルの提唱した「dream body(ドリームボディ、夢の身体)」という概念があるのですが、そこからインスピレーションを得ました。私たちが本来の自分を生きていない時に夢を通してサインを受け取る、というようなものです。

いわゆるインナーチャイルドみたいなものですが、例えば本音を隠して建前で生きているとだんだん心が苦しくなってきますよね。それが高じて体調を崩す人も多い。そういうのが、潜在意識からのサインだと思うのです。

森づくりやイベントでここに滞在した人が、この静かな森の中で眠る。その時に見る夢によって本来の自分の姿に気付いたり、本当にやりたいことを見つける、そんな森になるといいな、と思って付けました。

ー今の社会の中で、本来の自分を生きられない人は多いと感じますか?

自分のことも含めそう思いますね。でも、私自身はここにきてからだんだん本当の自分に近づいていると感じます。森がそれを教えてくれているのだと。

無理したり、ひずみがあるようなやり方で物事を進めていくと、うまくいかなかったり、ひずみのある出来事が起こるのです。同じように私がうそっこを生きていると、不都合がたくさん生じて人間関係もうまくいかない。でも自分に正直になって本来の姿になっていくと、物事がスムーズに運んでゆく。

プロジェクトを立ち上げてからそういう経験を重ねるうちに、自分の在り方が周囲の世界に映し出されているのを実感しています。

そうすると、うまくいかないことも、最終的にうまくいくための布石なんだと思えてくる。

危機に見えるところからどのようにうまくいくのかな、というのがこれから楽しみだな、という視点が持てるようになりましたね。

ー夢見の森が目指す「森林再生」とは?

植林されたカラマツを切ると、お日様が入るようになってミズナラなどの広葉樹が自然に生えてきます。それを大きく育てていって、広葉樹の森にしてゆくことですね。植林はせずに、カラマツの人工林を半分程切って、薪やクラフト等に活用しながら自然な森の姿を取り戻してゆきたいです。

自然のベクトルは森に向かうといいます。人間が滅びたら、NYもあっという間に森に還るという説がありますが、それくらい森に戻る力は強いんだと思います。それを人間が過度に木を切り出せば、砂漠化してしまう。でも私たちがが手を入れることで、豊かな生態系にすることも可能なはずです。それをやるんだ、という気持ちですね。

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 2015年7月上旬、夢見の森でアースオーブンと携帯コンポスト・トイレを作るワークショップが行われました。

アースオーブンとは土(アース)のオーブンです。石や粘土、セメントなどを使って手作業で作ります。ピザやパン、クッキーを焼いたり、ご飯や汁物を炊く釜戸も付いています。炭焼用のドラム缶が土台になっていたり、ピザを焼きながら余熱で湯を沸かす、薪から木酢液を取る、など多機能で熱を有効に活用できる仕組みになっています。

7月11日、ワークショップには20名ほどの参加者が集いました。近隣の地域ばかりでなく、札幌、函館、東京から来た人もいました。皆パーマカルチャーや自然農、環境に負担をかけない暮らし方やコミュニティー作りに興味を持つ人たちです。

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今回講師を務めたのは「循環型コミュニティーシャロム&シャンティクティ」代表臼井 健二さんです。

臼井さんといえば、持続可能でエコ、自給自足のライフスタイルを実践する安曇野のゲストハウス「舎爐夢(シャロム)ヒュッテ」でご存知の方も多いと思います。農業、ゲストハウス、カフェ、ショップが一体となったコミュニティーを営みながら、全国各地で今回のようなワークショップを行っているそうです。

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臼井 健二 さん

臼井さん 現代は 、これまでの暮らし方から乗り換える、シフトしてゆく時代です。地下資源はとても便利ですが、それは何万年という時間に蓄積されてきたものを一瞬で使っているからです。本当は地上にある資源で暮らして行ければ環境への負荷が減り、再生可能な暮らしができると思います。

僕らの暮らしは手作業から始まって機械になり装置になっていく。そうすると、もう何が何だかわからない。それよりも自分たちで考え作ることのできる、シンプルで身の丈にあった『適正』技術を身につけられるといいんじゃないかと思います。アースオーブンもその一つです。メンテナンスも自分でできるし、ローカルな仲間のうちで支え合っていろんなことができる。

こういう技術をサブシステムとして持っていると、安心して暮らせると思います。福島のような災害が起きた時に、ガソリンや灯油がなく大パニックになっても、もっと人間的な仲間のつながりのなかで融通しあいながら、お互いが助け合うことが可能になるのではないでしょうか。」

 

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完成しました。夢見の森のシンボル、ふくろうがキュートです!下のドラム缶は、出し入れの口をつけて炭焼用に使います。ふくろうのお腹で薪を焚いてピザ、その余熱でパンやクッキーを焼くことができます。向かって右側にかまどがついています。

蓄積した熱を何度も使う多機能な構造になっていて、アイデア次第でもっと使い方が広がります。

楽しさはみんなで分かち合うことで何倍、何十倍に!

 

 翌日は携帯用コンポストトイレを作りました。

家庭用の生ゴミコンポストになんと便座を取りつけ、オガクズ等と攪拌しすることで排泄物を堆肥化させます。しかもどこへでも持ち運び可能な近未来型トイレ。

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主な材料は生ゴミ用コンポストと便座、そのほかに尿と便を分けるビニールシートやチューブなどがありますが、費用は全部で3万円ほどだそうです。自治体によってはコンポストの購入に助成金が交付されるので、もう少し安価に作れるかもしれません。

説明の中で臼井さんが「食べるよりも出す方が先」というお話をされていましたが、筆者はこのトイレを見ていて、排泄に対する態度が全く変わるな、と思いました。トイレ任せで流したら終わり、というのではなく、いい排泄をする(いい排泄じゃなかったら掃除がとっても大変だったり人と共用できなかったりしてしまいそう…)、そのために生活を見直したり、何を食べたらよいのかがわかってくるのではないでしょうか。だからといって100%コンポストトイレに今すぐする!ということでもなく、まさにサブシステムとして持っている、知っていることが大切なのだと思います。

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 臼井さん「この作り方が全てではありません。いろんな作り方があるし、自分で考えて工夫したらもっといいものができるでしょう。

いいものができたら、どうぞみんなにシェアしてください。

僕らはいつも抱え込みがちになります。

でも自然界はみんな無料、全てを与えますよね。

みんなで分かちあってください。みんなが与え合えば、これほど素晴らしいことはありません。」

 夢見の森では森づくり、エコ、パーマカルチャー、といったテーマで様々な活動が行われています。イベントやワークショップの予定は夢見の森Facebookをチェックしてみてください。

夢見の森 虻田郡洞爺湖町月浦94-296   

 Facebook https://www.facebook.com/yumeminomori

高橋さん  mayumitw28@icloud.com

 

 

chそらみ編集部

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